旅ライター吉野斉の『プチ失踪』
日本の旅ライター吉野斉の旅雑感。温泉、秘湯、珍味や郷土料理、酒の肴、グルメ、鉄道、元巫女の神社紹介、パワースポット紹介など。
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沼津〜うまい鮨を喰らう

身延線を走り、そして東海道線に入る途中は、まさに富士山列車。
右に左に、前に、といろんな角度に富士が現れ、様々な表情を見せる。
たおやかに流れる富士川も、身延線にのらなければ見られなかった。
列車旅は車窓がいい。
のっていてまるで飽きない。
鉄道の旅をしていた頃のことを思い出していた。
流れる風景をなんとなく、時にはじーっと眺め、ノートに詩をかきとめていたっけな。
学校に通う日常がすごく窮屈で、逃げ出して旅にばかり出ていたっけな。
じゃがいもの花は白い、とか北には高い木が生えないとか、車窓が教えてくれたんだったな。
帰ったら、また、鉄道旅に出てみようかな。
そんなことを考えていた。
さて、帰り道にまだ寄り道ができるので沼津で下車して、なんぞお魚などを食べたいなとそぞろ歩く。
バスに乗って沼津港市場の裏手へんに行く。
このあたりは取材でよく来る場所なんだけどあまりおいしいお店は知らない。
どこかいい店ないかな。
そんなこんなで、道路に面したの高そうな店を避け、小路を入り込み、ふっとみつけたのが「かもめ丸」。
ちっちゃなお寿司屋さん。
ここに入ってみた。
お寿司大好きの私はおまかせ握りをお願いする。
三浦さんは海鮮丼を注文。
人なつっこい大将とお話しながら寿司をつまむ。
あじ、目鯛などに加え、たちうお、金目鯛、それに時期の生しらすと生桜エビもにぎってもらった。
ん、おいしー。
やっぱり新鮮なネタっていいね。
とくにアジがさえていました。
生しらすははじめて食べましたが、独特な感じを、うまく形容できません。
沼津のかもめ丸・かもめ寿司。何店舗かあるようです。
かもめ寿司の地魚お任せ握りは1650円。
お手頃なお値段だし、ネタは新鮮だし、その日あがった地魚を出してくれるのでおすすめです。
ふたりの旅はそろそろ終盤。
帰りの東海道線で一面に広がる海をみて、大満足で東京に帰ったのでした。
おんな二人旅もいいものだなって思った。
一緒に楽しい旅をしてくれた三浦さん、ありがとうございます。
そんな道中をまとめたエッセイは旅の手帖7月号に掲載されていますので、よかったら書店などでお手にとってみてくださいね!
富士宮〜焼きそばと浅間大社

三浦さんが「西富士宮から富士宮間を歩きたい」と言った。
私は「富士宮浅間大社に行きたい」と言った。
ふたりのわがままを両方叶えるべく、西富士宮駅でおり、商店街をてくてく歩いて、浅間大社に向かい、富士宮駅へと散歩することにした。
西富士宮には小さな商店街が、今はさびれてしまっているけれど、残っていて「ああ、こういうところにいろんな人の故郷があるんだな」とふと思う。
私の生まれ故郷は観光地のまっただ中なので、帰省自体が一種観光のようなものなのだが、こういう田舎に帰ると、街の小さなストアーのシャッターとか何気ないところでほろっときたりするんだろう。
富士宮浅間大社は富士山を祀る神社。富士山の守り神でもあり、希代の美女として日本神話に登場する此花咲也姫をまつっているお宮です。
私は山梨側の富士吉田市にある北口浅間神社とここ富士宮の浅間大社がここのところ好きなのです。
浅間大社は鮮やかな朱塗りの社殿。拝殿の向こうがわに霊峰富士が鎮座し、清らかな眺め。
社殿脇には霊水・富士の湧き水がこんこんと流れ出ていて、ここもお気に入りの場所。
藤棚のふじもたおやかに咲いている。
富士の湧水をひとくち口にふくむ。ほのかにあまく、のどにしみていった。
お宮の近くで富士宮焼きそばを食べた。
富士宮駅について、後ろを振り返ると、富士山が大きく裾野から裾野まできれいに視界に入った。
こんなに大きな富士山を生まれてはじめて見た。
立ち止まってしばしながめてしまうほどにすがすがしい姿だった。
写真は社務所(?)の向こうに富士山を望むの図。本殿はきれいな赤です。
下部温泉〜大黒屋旅館
その日の宿は下部温泉にとった。
下部温泉はいい具合にさびれた温泉街。いや温泉街というよりは湯治まち。
山間の渓谷沿いに小さな宿がぽつぽつと建ち並び、俗世や商売っけなどは微塵も感じないのだが、さびしさもまた下部温泉の魅力と思う。
下部温泉はお湯がいい。
ぬるめのお湯でやわらかく、肌あたりがよい。
例えば私の好きな万座温泉の苦湯などは、はげしく効くので、長湯ができない。
下部温泉のお湯は女性的で、ゆったり長湯をしてもさらさらとしているから不思議だ。
大黒屋旅館のお風呂はとてもよかった。
源泉と、すこし加熱したお湯とふたつの浴槽があり、新緑の山々と渓流のせせらぎを間近に眺めながら湯浴みができる。
また女性は浴衣を選べるのも魅力的。
私は山吹色のひまわり柄を、三浦さんは辛子色の小粋な浴衣を選んだ。
山の物をつかった夕食ではタケノコの刺身が美味。
部屋からも渓流をながめることができ、夜はせせらぎの音を聞きながら眠った。
建物自体は古くなっていても、手入れが行き届いていて、清潔で、リーズナブル。
1泊2食8500〜。
リフレッシュできました。
下部温泉はいい具合にさびれた温泉街。いや温泉街というよりは湯治まち。
山間の渓谷沿いに小さな宿がぽつぽつと建ち並び、俗世や商売っけなどは微塵も感じないのだが、さびしさもまた下部温泉の魅力と思う。
下部温泉はお湯がいい。
ぬるめのお湯でやわらかく、肌あたりがよい。
例えば私の好きな万座温泉の苦湯などは、はげしく効くので、長湯ができない。
下部温泉のお湯は女性的で、ゆったり長湯をしてもさらさらとしているから不思議だ。
大黒屋旅館のお風呂はとてもよかった。
源泉と、すこし加熱したお湯とふたつの浴槽があり、新緑の山々と渓流のせせらぎを間近に眺めながら湯浴みができる。
また女性は浴衣を選べるのも魅力的。
私は山吹色のひまわり柄を、三浦さんは辛子色の小粋な浴衣を選んだ。
山の物をつかった夕食ではタケノコの刺身が美味。
部屋からも渓流をながめることができ、夜はせせらぎの音を聞きながら眠った。
建物自体は古くなっていても、手入れが行き届いていて、清潔で、リーズナブル。
1泊2食8500〜。
リフレッシュできました。
身延線〜身延山久遠寺
。
身延線は甲府から富士までを走るローカル線。
山梨の山間を走ることもあって、「もしかして二両編成でアイボリー色のノスタルジックな車両がくるんじゃない」とふたりはわくわくして待っていた。
しかし。シルバーの近代的な、しかも五両編成の車両がきて、ちょっとがっかり。
「花咲線みたいな二両編成のレトロ列車がよかったなぁ」とつぶやく鉄子ふたり。
でも走り出すと身延線は本領発揮してくれた。
山は時に迫り、時に遠く、まばゆい田園風景が広がり、列車はタントトタンとかボーッとかヒューッとかいろんな音をたてて走る。
まどろみにも似た時間を過ごし、日だまり列車にゆられるふたり。
遠くに富士山が見える。春霞がかかったようで、幻か現か分からぬ加減がよい。
列車が身延駅につき、私たちは身延山久遠寺に向かった。日蓮宗の総本山であり、しだれ桜の名所としてもしられるお寺だ。
私は久遠寺を訪れるのは二度目なのだが、このお寺は墨のような黒色に塗られていて、威厳がある。本堂に入ると天井には龍が目をむき舞っている。
一度はしだれ桜の頃にきてみたいな、と思う。
境内から木々の向こうに山々を見ると、また違う世界。深く、静かな、何か。
さて下山しようと階段にさしかかり、息をのむ。
一番下の踊り場が足元に垂直に見えるように錯覚するほど急勾配の階段。
こ・・・怖いです。
「これも修行だよね」と我々は、手すりにつかまりながら、おっかなびっくり長い階段をおりるのでした

身延線は甲府から富士までを走るローカル線。
山梨の山間を走ることもあって、「もしかして二両編成でアイボリー色のノスタルジックな車両がくるんじゃない」とふたりはわくわくして待っていた。
しかし。シルバーの近代的な、しかも五両編成の車両がきて、ちょっとがっかり。
「花咲線みたいな二両編成のレトロ列車がよかったなぁ」とつぶやく鉄子ふたり。
でも走り出すと身延線は本領発揮してくれた。
山は時に迫り、時に遠く、まばゆい田園風景が広がり、列車はタントトタンとかボーッとかヒューッとかいろんな音をたてて走る。
まどろみにも似た時間を過ごし、日だまり列車にゆられるふたり。
遠くに富士山が見える。春霞がかかったようで、幻か現か分からぬ加減がよい。
列車が身延駅につき、私たちは身延山久遠寺に向かった。日蓮宗の総本山であり、しだれ桜の名所としてもしられるお寺だ。
私は久遠寺を訪れるのは二度目なのだが、このお寺は墨のような黒色に塗られていて、威厳がある。本堂に入ると天井には龍が目をむき舞っている。
一度はしだれ桜の頃にきてみたいな、と思う。
境内から木々の向こうに山々を見ると、また違う世界。深く、静かな、何か。
さて下山しようと階段にさしかかり、息をのむ。
一番下の踊り場が足元に垂直に見えるように錯覚するほど急勾配の階段。
こ・・・怖いです。
「これも修行だよね」と我々は、手すりにつかまりながら、おっかなびっくり長い階段をおりるのでした
甲府〜夏のほうとう「おざら」

富士山一周の鉄道コースは
中央線→身延線→東海道線と富士山をぐるっと回る。
甲府駅で身延線へ乗り換え。お昼どきなので何か食べようということになる。
山梨名物のほうとうを食べようと地元で有名な「小作」という店に入った。
とはいえ、真夏を思わせる猛暑の中公園を散歩してきただけに、あつあつの鍋に入った煮込みほうとうはちょっと無理・・・と思っていると冷やしほうとう「おざら」というメニューを発見。
はじめて聞いた。俄然興味がわく。ということで「おざら」を注文。
ほうとうの麺といえば太くて幅広の、ごっついやつである。あれがそのまま冷やしになるとしたら、ちとつらいかな?と思っているときたきた、「おざら」
ん?
涼味満点!
きしめんのようなしなやかな麺をにんじんやおあげなどが入ったあたたかいつゆにつけて食べるもので、するする、つるつると食べられる。おいしい。
素朴な味だけど、また思い出して食べたくなるような、郷愁をそそる味。
夏の山梨の味は「おざら」がおすすめです!



